コラム
2026/09/15

英文契約書を提示されたら、まず何を確認すべき?

海外企業との取引を始める際、相手方から英文の契約書を提示されることがあります。

英文契約書は、日本語の契約書と比べて分量が多く、見慣れない表現も多いため、「内容をすべて理解するのは難しい」と感じる方も少なくありません。

もっとも、英文契約書だからといって、英語を一文ずつ日本語に訳すことだけが重要なのではありません。むしろ、取引上どのようなリスクを負う契約になっているのかを確認することが大切です。

今回は、海外企業から英文契約書を提示されたときに、まず確認しておきたいポイントをご説明します。

1 契約の内容と当事者を確認する

最初に確認したいのは、「誰と、何について契約するのか」という基本的な部分です。

海外企業の場合、実際に交渉している会社と、契約書に記載されている会社が異なることもあります。グループ会社が複数存在する場合には、どの法人が契約当事者となるのかを確認しておく必要があります。

また、売買契約であれば商品の内容、数量、価格、支払条件、納期など、業務委託契約であれば業務の範囲、報酬、成果物など、取引の中心となる条件が実際の合意内容と一致しているかを確認します。

契約書の表現が難しくても、まずは「この契約によって自社は何をする義務を負い、相手方は何をする義務を負うのか」という視点で読むと、内容を整理しやすくなります。

2 損害賠償や責任制限を確認する

英文契約書では、契約違反があった場合の責任について詳しく定められていることがあります。

特に確認したいのが、損害賠償に関する条項や「Limitation of Liability(責任制限)」と呼ばれる条項です。

例えば、自社が負う損害賠償責任には上限が設定されているのか、間接損害や逸失利益まで賠償の対象となるのか、特定の義務についてだけ責任制限が適用されないことになっていないか、といった点を確認します。

取引金額がそれほど大きくなくても、契約違反が生じた場合の責任が非常に大きく設定されていれば、自社にとって想定以上のリスクとなる可能性があります。

3 契約を終了できる条件を確認する

契約を締結するときには取引を始めることに意識が向きがちですが、「どのような場合に契約を終了できるのか」も重要です。

契約期間は何年間なのか、自動更新されるのか、途中で解約できるのか、相手方に契約違反があった場合に解除できるのかなどを確認します。

特に長期間継続する契約では、途中解約の条件が厳しく設定されていると、取引関係を終了したくても簡単には終了できないことがあります。

契約締結前に、取引を始める場面だけでなく、「取引をやめる場合にはどうなるのか」まで確認しておくことが大切です。

4 準拠法と紛争解決方法を確認する

国際取引では、契約についてどの国の法律を適用するのかを定める「Governing Law(準拠法)」の条項が置かれていることがあります。

例えば、日本企業と海外企業との契約であっても、相手方の国の法律が準拠法として指定されていることがあります。

また、トラブルが発生した場合に、どこの国の裁判所で解決するのか、あるいは裁判ではなく国際仲裁によって解決するのかについて定められている場合もあります。

契約締結時にはあまり意識されない部分ですが、実際に紛争が発生すると非常に重要な意味を持ちます。

外国の法律が準拠法とされ、外国での裁判や仲裁が必要となれば、紛争解決に要する時間や費用にも大きな影響を与える可能性があります。

5 分からない条項をそのままにしない

英文契約書には、「Indemnification」「Representations and Warranties」「Force Majeure」など、日本語の契約書ではあまり見慣れない表現が登場することがあります。

もっとも、大切なのは単語の日本語訳を知ることではありません。

その条項によって、自社がどのような義務を負い、どのような場合に責任を負うのかを理解することが重要です。

また、相手方から契約書を提示されたからといって、その内容をそのまま受け入れなければならないわけではありません。自社にとって負担の大きい条項があれば、修正を求めることも契約交渉の一つです。

まとめ

海外企業から英文契約書を提示されたときには、英語を正確に翻訳することだけでなく、契約によって自社が負うリスクを把握することが重要です。

特に、

  • 契約当事者と取引内容

  • 損害賠償・責任制限

  • 契約期間・解除条件

  • 準拠法

  • 裁判管轄・仲裁などの紛争解決方法

については、契約締結前に確認しておきたいポイントです。

海外企業との取引では、国内取引とは異なる契約条件が提示されることもあります。内容を十分に理解しないまま署名するのではなく、自社にとってどのようなリスクがあるのかを整理したうえで契約を締結することが大切です。

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